酪農の農場の広さの平均ってどれくらい?やっぱり北海道は桁違い

酪農といえば北海道、北海道といえば酪農というくらい、イメージが強い北海道。
もちろん、本州でも酪農を営んでいる農場は多数ありますが、全国で見ても生乳の産出額割合の約50%が北海道となっています。
土地の広さも北海道がダントツのトップなので、日本で酪農を営むのは広大な土地がある場所でなければ難しいと思っている方も多いかもしれません。
そこで、今回は酪農の農場の広さや北海道と本州の酪農の違いについてご紹介します。

北海道の広さについて

北海道といえば日本で一番広い都道府県。
ちなみに、なんで県ではなくて道なのかというのは昔の行政区分が関係しています。
道というのは昔の行政区分で、今でも新幹線や高速道路などで馴染みのある東海道や山陽道と同じ区分。
本来、いくつもの藩が合わさってひとつの道になっています。

一方、北海道は昔は「蝦夷地」と呼ばれていて、日本とは別の国と考えられていました。
明治時代に日本の正式な領地になった際、八道目の北海道としてそのまま都道府県の中に入りました。
本来はいくつもの藩が合わさってひとつの道になっているため、北海道は地方がまるごとひとつの県になっているようなもの。
面積は九州の2倍以上あり、八道の中でも東北地方から長野を通って滋賀に至る東山道に次ぐ広さとなっています。

北海道における農業の面積

北海道では、その広い土地を活かした農業が盛んで「酪農王国」や「日本の食糧庫」など、さまざまな呼び方をされています。
というのも、九州地方がふたつ入るくらいの面積を誇る北海道は、その約4分の1が農地。
つまり、将基酪農がある香川県が11個以上入る広さがすべて農地となっているわけです。
生乳だけでなく、玉ねぎやじゃがいも、小麦、大豆、にんじん、小豆、コーンにかぼちゃ・・・と、さまざまな作物が全国1位の生産量となっており、生産割合も他県に比べて圧倒的多数となっているものが多くあります。

北海道における農地の平均面積

日本における一戸あたりの農地面積は3.7a(370㎡)と言われています。
一方で、北海道単体での一戸あたりの農地面積は30.2ha(302,000㎡)。
ちなみに、酪農家が利用している農地面積に限定すると、都府県では5.6ha(56,000㎡)。
北海道に限定すると48ha(480,000㎡)となっています。
いずれにしても、都府県と北海道では桁違いにも程がありますね。

広々とした土地を持つ北海道は酪農のスタイルも放牧が盛んで、牧場の広さも桁違いです。
北海道最大の牧場と言われている「ナイタイ高原牧場」さんは、総面積がなんと1,700ha(17k㎡)
日本で一番面積の小さい県庁所在地、新宿区が18.22k㎡なので、同じくらいの面積がすっぽり牧場になっているくらいの広さです。

北海道における酪農の歴史

これだけ広い土地で酪農が営まれているので、さぞ昔から多くの農家が酪農をしてきたのだろうと思いますよね?
しかし、実はその歴史はそれほど深くはありません。
というのも、冒頭でも触れた通り、もともと北海道は日本の領地ではなくアイヌの人々が暮らす場所でした。
アイヌの人々は狩猟民族だったため、北海道はそれまで言わば未開の土地だったわけです。

日本では江戸時代から酪農が始まっており、明治時代に入って北海道が日本に統合。
1876年に根室に大規模牧場が開かれて以降、北海道の広大な土地を生かして次々に酪農が行われるようになったわけです。

本州における酪農のスタイル

北海道ほどの広さが確保できない本州の酪農家は自然と生産できる生乳の量が減ってくるのかというと、実際はそうではありません。
なぜなら、野菜などとは違い、酪農では農地=生産量にはならないからです。
理由は酪農における農地の広さは放牧する牧場の面積になるからです。

酪農は牛から乳を絞ることが重要なので、極端な話、牧場がなくても牛舎があれば成り立ちます。
実際、放牧を取り入れている酪農家は全体の約20%程度で、残りの80%が放牧以外のスタイルで酪農を営んでいます。
特に、広い土地を確保できない本州の酪農家は後者のスタイルを選ぶケースが多いです。

本州でもメガファーム・ギガファームが作れる

酪農は農場が大きくなってもやることがそれほど大きく変わるわけではないため、比較的事業を大きくしやすい特徴があります。
そのため、土地の少ない都府県で酪農を営んでいる事業家は放牧以外のスタイルで牛の頭数を増やし、規模を拡大しています。

四国最大級の規模を誇る将基酪農も生乳生産量10,000トン以上のギガファームにあたります。
そのため広さもそれなりのものではありますが、放牧しているわけではないため北海道の農場のような規模の広さではありません。
働く人手や手持ちの費用と相談しながら規模を拡大しやすいため、将基酪農に限らず農場の規模拡大は進んでいくと言われています。