搾乳とは?酪農家にとって重要な牛の乳搾りについてご紹介します

搾乳とは乳を搾ることです。
酪農家にとって搾乳は一般的に牛の乳を搾ることを指し、最も重要な仕事のひとつです。
チーズやバターなどの乳製品もすべて生乳から加工されるため、全ては乳を搾るところから始まります。

だからこそ、酪農家は美味しい乳を出してくれる乳牛を育て、品質の良い乳を搾ることを日々考えています。
今回は、酪農家にとって重要な仕事となる搾乳について、最近の技術なども含めて詳しくご紹介します。

酪農家の仕事は搾乳がメイン

一般的に、酪農家の仕事といえば、牛の乳を搾って生乳を販売すること。
酪農家によっては山羊や羊の乳を搾って製品化する牧場などもありますが、牛の乳から牛乳やさまざまな乳製品を販売しているところがほとんどです。
牛がいなければ生活が成り立たないため、酪農家は牛が気持ちよく乳を出してくれるよう、餌やりからリラックスできる空間づくりまで、さまざまなことに気を配っています。

また、牛も人間と同じように、仔牛を産んで育てるために乳を出します。
だから、乳を搾ることができるのは、出産後間もない雌の牛ということになります。

搾乳は毎日決まった時間にする

牛は毎日決まった時間に乳を搾ってあげる必要があります。
さらに、1日の回数も決められていて、将基酪農では、朝・昼・夕の3回、搾乳をしています。
昨日やらなかったから今日は2倍頑張ろうといったことにはなりませんし、もちろんやろうとしても2倍の乳を出してくれるわけでもありません。
毎日決まった時間に、決まった量を搾ることがもっとも重要なんです。

とは言え、将基酪農には1000頭もの乳牛がいます。
数がたくさんいればいるほど、たくさんの乳を搾ることができますが、その分の作業量もかなりのものになります。
少なくとも1人でできる作業ではありません。
だから、チームに分かれ、搾乳チームが順番に搾乳をしていきます。

搾乳にはミルカーという機械を使用

搾乳といえば、テレビなどでバケツを持ってきて手作業で乳を搾るシーンが出てくるため、手作業でやっているイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、今は機械を使った作業が主流です。
もちろん、手での搾乳できるスタッフも多くいますが、機械の故障などですべての搾乳を手作業で対応しなければならなくなったということはありません。

機械を使うと早い以外にもメリットが

搾乳に機械を使用すると、手で搾るよりも作業がスムーズになり、安定して乳を搾ることができます。
さらに、手で搾るのとは比較にならないくらい、牛に与えるストレスも軽減できます。

効率的で安定した乳を搾れ、なおかつ牛に与えるストレスも大幅に軽減できるとなれば、手で搾るメリットはほとんどありません。
酪農家は日々、牛にどれだけリラックスして生活し、美味しい乳を気持ちよく出してもらえるかを考え続けています。
だから、乳は手で搾るより、機械を使った方が牛にとっても人にとっても幸せということになります。

機械で搾乳している間の仕事

搾乳を自動化する中で、楽になった分人にはやるべきことがあります。
それは、牛の身体検査。
機械化された分、一頭一頭ときっちる向き合えるので、状態を確認し、いつもと変わったところはないかをチェックします。

搾乳を効率化する機械、ミルカー

牛の数が多いと1人ひとりの作業の負担が大きくなります。
だから、大きな農場になればなるほど、搾乳が時間内に終わるよう、人の動きや機械化などの工夫しなければなりません。
そこで登場したのが、牛の乳を搾るミルカーという機械です。

ミルカーのパイオニア、バケットミルカー

バケットミルカーは、牛の乳を搾るミルカーを牛の乳につけ、貯乳タンクを持ち運びながら搾乳する方法。
ミルカーが世に出始めた頃はほとんどがバケットミルカーで搾乳をしていました。
ただ、手作業よりは効率的ですが、持ち運べるタンクの大きさが限られているため、大型の農場ではさすがに作業が追いつきません。
そのため、現在では小さな農場以外で使われることは少なくなっています。

タンクを持ち運ばなくても良い、パイプラインミルカー

バケットミルカーの場合、タンクの持ち運びが大きなネックとなっていました。
そこで、牛舎にパイプラインを設置し、ミルカーで搾乳した乳をタンクまで自動で運ぶように工夫したのがパイプラインミルカーです。
搾乳の仕組み自体はバケットミルカーと同じなので、牛一頭一頭にミルカーを設置していく作業自体は変わりませんが、タンクの交換や持ち運びの手間がなくなるため、かなりの効率化になります。

牛を集めて搾乳する、ミルキングパーラー

牛舎にはたくさんの牛が放し飼いになっています。
当然、牛は生き物なので、搾乳している間も動いており、どの牛が搾乳が終わっていて、どの牛が終わっていないかをきちんと分かるようにしておかないと搾乳できていない牛や、何度も搾乳する牛が出てきてしまいます。
そこで、パーラーと呼ばれる場所に牛を集め、効率的に搾乳していく方法がミルキングパーラー。
少ない人数かつ一定の速度で搾乳ができるため、たくさん牛を飼っている大型の農場には取り入れられていることが多いです。

搾乳は酪農の永遠のテーマ

搾乳は、ただ効率化を追い求めるだけでは成り立ちません。
牛がストレスを抱えることなく、自然に、快適に生活する中で乳を出してもらう必要があります。
そのため、さまざまな工夫が施されています。
最近では、牛の体温や体重などを管理しつつ、全自動で搾乳まで終わらせられるロボットを導入した搾乳も取り入れられています。